今回は、プラモデルでも多く採用されている素材「ABS樹脂」について塗装する際の注意点も含め解説していきます。
ABS樹脂とは?
ABS樹脂とは、ポリスチレンにアクリロニトリル、ブタジエンを化学的に結合することで、耐衝撃性を改良した素材です。
メリットとして、用途に合わせて柔軟に加工できる、外部からの衝撃に強いという点があります。
反面、耐候性が低く劣化しやすい、有機溶剤に弱い(ガンダムマーカーなどの塗料)といったデメリットもあります。
ガンプラでは、MGは内部フレーム、RGではアドヴァンスドMSジョイントなどに採用されています。
また、ABS樹脂のパーツを接着する際は、ABS樹脂専用の接着剤を用意する必要があります。
GSIクレオス、Mr.セメント各種のABS樹脂に対しての使用に関して注意喚起 https://t.co/pVOBh1iCCH #Mrセメント #GSIクレオス pic.twitter.com/6xQQ6TSeKO
— HOBBY Watch (@hobbywatch_jp) August 7, 2024
Mr.セメントシリーズの接着剤はPS樹脂専用で、ABS樹脂には対応していません。
ご注意ください。
ガンプラでABS樹脂を見分ける方法
ガンプラでABS樹脂かどうかの見分け方として、説明書の付属ランナー欄を見るという方法があります。
このページを見れば、どのランナーにどの材質が使われているか分かります。
また、箱の側面にも製品素材が書かれているので、買う前にこの部分を読んでおいて下さい。
塗装する際の注意点
塗装する際の注意点として、組み立てた後から塗装しないことです。
ABS樹脂のパーツは、組み立てた後に塗装するとヒビが入り割れます。
こちらが腰回りが割れた時の写真です。
直接塗装していなくても他の場所から塗料が流れ込み、崩れるように割れます。
メカニズムとして、
①組み立てた時の負荷によりパーツにわずかなヒビが入る
②パーツに塗料を塗ることで塗料がヒビに侵食する
③ヒビに塗料が侵食することで劣化してパーツが割れる
といった感じです。
ABS素材でも塗装する事は可能ですが、その場合以下の4つを注意して下さい。
①パーツを組み立てる前に塗装する
②塗装した後はしっかり乾燥するまで待つ
③細かく可動する関節パーツは極力塗装しない
④事前にプライマー塗装を行う(下塗り塗装)
この4つを守れば、破損するリスクを減らすことができます。
まとめ
以上、ABS素材についての紹介でした。
最近のキットはKPS(強化ポリスチレン)が採用される事が多くなりましたが、過去キットの再販品やガンダムベース限定のカラーバリエーションキットにはABS樹脂が採用されている場合があるので、パーツ素材の確認はしっかり行って下さい。